この度、前理事長河本圭司先生の後任として、新理事長に指名され就任いたしました。このような歴史ある学会の理事長にご指名戴きましたことは大変光栄なことと存じますとともに、その責任の重大さに改めて身の引き締まる思いでございます。今後、本学会発展のため誠心誠意努力いたしますのでよろしくお願い申し上げます。
本会は、1982年にウィーンで開催された国際神経病理学会開催中に、石田陽一先生(当時:群馬大学医学部病理学講座教授)の下、景山直樹先生(当時:名古屋大学医学部脳神経外科講座教授)、吉田純先生(当時:名古屋大学医学部脳神経外科講座助手)、河本圭司先生(当時:関西医科大学脳神経外科講師)等を中心としてその骨子が産み出され、翌1983年に石田陽一会長(当時:群馬大学医学部病理学講座教授)の下、名古屋の地にて日本脳腫瘍病理研究会として第1回が開催されました。その後、第15回(田渕和雄会長 当時:佐賀医科大学脳神経外科教授)からは日本脳腫瘍病理学会となり、今日に至っております。会員数は会を重ねる度に増加し、現在では、900余名の会員を擁する程の学会に成長致しました。内容も、臨床病理検討会、教育セミナー、ハンズオンセミナー等の新たな企画が次々と編み出され、脳腫瘍病理に特化した内容の豊富さは他の学会には類を見ない構成となっております。一方、国際脳腫瘍病理シンポジウムは、日本脳腫瘍病理学会総会に併せて数年に一度の割合で開催されております。第1回国際脳腫瘍病理シンポジウムは1990年に第8回日本脳腫瘍病理研究会を石田陽一会長のもとに開催致しました。昨年は、小生が第30回日本脳腫瘍病理学会及び第4回国際脳腫瘍病理シンポジウムの会長として、平成24年に名古屋国際会議場にて開催致しました。再び世界各国から脳腫瘍病理学の権威が集結し、現在の脳腫瘍病理学を直接討論して検証し、今後の展望を検討し、大変意義深いものとなりました。この会の中でも、特記すべき事項としては、
このような試みは、小生及び事務局関係者が知恵を絞って、本学会の将来像を見据えての企画立案であり、今後の理事長としての活動の基点と考えております。
一方、本学会の機関誌は、当始は“講演集”として出発し、次いで“脳腫瘍病理”(和文)から“Brain Tumor Pathology”(英文)へと国際誌に発展し、世界でも類を見ない独自性を編み出しており、2009年にはImpact Factor(1.1)を取得しております。
また、学会編集誌として“脳腫瘍臨床病理カラーアトラス”(医学書院)を1988年以来発刊しており、2009年にはこの第3版を発行しました。これはカラー写真・内容とも極めて高いレベルの内容を網羅しており、中国語に翻訳されたり、専門医試験のテキスト用としても定評があります。
なお、本会は、『脳腫瘍病理』の名称になっておりますが、脳腫瘍の治療と研究に携わっている脳神経外科医、病理医が中心となり、さらに神経内科医、神経放射線科医、脳腫瘍の研究者達も関わって大きく発展してきており、脳腫瘍の形態学的研究・組織化学的研究・分子遺伝学的研究、ならびに画像を用いた脳機能解析などにより、脳腫瘍の正確な診断法と治療法を確立することを目的としています。又、最近では、網羅的遺伝子解析に基づく新たな分子標的マーカーの発見が相次いでおり、その結果、新規遺伝子診断、難病の分子イメージング開発、分子標的治療薬開発の基礎研究の発表も増加傾向にあります。
さて、本会は2009年には学会組織として理事・評議員制を導入し、各施設で指導的立場にある会員の中よりかなり厳しい審査を経て評議員が選出され、学会としての大きな基盤ができました。2010年には新編集局長に中里洋一教授(群馬大学病理学教授)が選出され、2011年から“Brain Tumor Pathology”は年4号を定期発刊するジャーナルに向けて新たに始動しました。この様な背景の下に、新たな時代に向けて、前理事長のマニフェストを継承し、今後以下のような活動を展開していきます。
このようなたくさんの試みも、会員の皆様のご支援があって始めて実を結ぶものです。本会の趣旨にご理解を戴き、会員の皆様による本会への積極的御参加とご支援を賜りますようお願い申し上げる次第であります。どうかよろしくお願い申し上げます。
2012年5月吉日
日本脳腫瘍病理学会
理事長 若林 俊彦
(名古屋大学脳神経外科教授)
名誉会員
功労会員
顧問
理事長
理事
評議員
会期 | 開催地 | 会長 | 国際脳腫瘍シンポジウム | |
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第1回 | 昭和58年 | 名古屋 | 石田 陽一 | |
第2回 | 昭和59年 | 東京 | 景山 直樹 | |
第3回 | 昭和60年 | 岡山 | 山下 純宏 | |
第4回 | 昭和61年 | 東京 | 髙倉 公朋 | |
第5回 | 昭和62年 | 神戸 | 河本 圭司 | |
第6回 | 昭和63年 | 仙台 | 熊西 敏郎 | |
第7回 | 平成1年 | 東京 | 福井 仁士 | |
第8回 | 平成2年 | 大津 | 石田 陽一 | 第一回 |
第9回 | 平成3年 | 山形 | 長嶋 和郎 | |
第10回 | 平成4年 | 新潟 | 西本 詮 | |
第11回 | 平成5年 | 東京 | 吉田 純 | |
第12回 | 平成6年 | 福井 | 久保田紀彦 | |
第13回 | 平成7年 | 熊本 | 生塩 之敬 | |
第14回 | 平成8年 | 東京 | 久保 長生 | |
第15回 | 平成9年 | 佐賀 | 田渕 和雄 | |
第16回 | 平成10年 | 福岡 | 田中 隆一 | |
第17回 | 平成11年 | 前橋 | 中里 洋一 | |
第18回 | 平成12年 | 名古屋 | 吉田 純 | 第二回 |
第19回 | 平成13年 | 東京 | 松谷 雅生 | |
第20回 | 平成14年 | 広島 | 栗栖 薫 | |
第21回 | 平成15年 | 東京 | 堀 智勝 | 第三回 |
第22回 | 平成16年 | 新潟 | 高橋 均 | |
第23回 | 平成17年 | 東京 | 寺本 明 | |
第24回 | 平成18年 | 沖縄 | 吉井與志彦 | |
第25回 | 平成19年 | 熊本 | 倉津 純一 | |
第26回 | 平成20年 | 東京 | 吉峰 俊樹 | |
第27回 | 平成21年 | 福岡 | 岩城 徹 | |
第28回 | 平成22年 | 大阪 | 黒岩 敏彦 | |
第29回 | 平成23年 | 東京 | 渋井壮一郎 | |
第30回 | 平成24年 | 名古屋 | 若林 俊彦 | 第四回 |
第31回 | 平成25年 | 東京 | 松村 明 | |
第32回 | 平成26年 | 徳島 | 廣瀬 隆則 | |
第33回 | 平成27年 | 香川 | 田宮 隆 | |
第34回 | 平成28年 | 東京 | 吉田 一成 | |
第35回 | 平成29年 | 宇都宮 | 植木 敬介 | |
第36回 | 平成30年 | 東京 | 小森 隆司 | 第五回 会長 若林俊彦 |
第37回 | 2019年 | 名古屋 | 廣瀬 雄一 | |
第38回 | 2020年 | 東京 | 松野 彰 | |
第39回 | 2021年 | 宮崎 | 竹島 秀雄 |
Brain Tumor Pathology
日本脳腫瘍病理学会の国際学術機関誌です。
脳腫瘍、特に脳腫瘍病理に関する最新の基礎研究、臨床研究の原著、症例報告、短報、総説を掲載しています。投稿には学会員である必要はありません。インパクトファクターも獲得しました。続きはコチラから
脳腫瘍臨床病理カラーアトラス
脳腫瘍に携わるすべての医師の定番書、WHO2016と最新知見を盛り込み全面改訂!
脳腫瘍の臨床像と病理所見を、大判かつ美麗な写真と簡潔な文章により見開きでコンパクトにまとめた、定評あるアトラスの改訂第4版。専門医を目指す若手からベテランまで、脳腫瘍に携わるすべての医師必携の書。編集:日本脳腫瘍病理学会。編集委員:若林俊彦・渋井壮一郎・廣瀬隆則・小森隆司
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